「墓じまいをする場合②」
寺の境内にある墓地を墓じまいするという事は、基本的にはその寺の檀家から抜けるという事になります。
最初に述べますが、簡単には事が進まない事もあります。
と言うのも、檀家から抜けるという事は寺側からすると痛手になるので、離檀料(つまり手切れ金です)を要求してくる寺があります。
その離檀料が法外な値段だったりするので、墓地(遺骨)を他に移したくても移せないという状態の方がおれらます。
釣月寺では、離檀料というものは頂いておりません。
離檀料に関しては、「墓地使用規約」、「墓地使用規則」等に離檀料の規定があり、その規定に具体的な離檀料の金額が明示されていた場合においては、離檀料を納めなくてはなりませんが、そうでない場合、離檀料は法的に支払う必要はありません。
遺骨の所有権は墓地使用者にあるので、離檀料の支払いが無いという事で、寺側は改葬を認めないという主張はできません。
離檀料のトラブルで、檀家と裁判になった寺もあります。
社会通念上、檀家を離れる際にはある程度の御布施を包む事は必要だと思います。
ちなみに、離檀料の相場は、10万円~30万円だそうです。
一般的な手順を、「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法とします)を参考に説明します。
改葬の許可申請は、墓地がある自治体で行います。
遺骨を移すには、墓地のある寺又は霊園(管理者)に、
①「埋葬事実証明書」(誰々の遺骨が埋葬されているという証明書)(墓埋法施行規則第二条第二項一号)を用意して貰います。(墓地管理者の押印が必要)
又は、
②自治体によっては、改葬許可申請書(墓埋法第五条)に改葬する方の住所、氏名、死亡年月日等を記入する書式のものもあります。(墓地管理者の押印が必要)
それを墓地がある自治体の役所に持って行き、改葬許可を受けます。
許可を受けた「改葬許可証」を遺骨を移す先の寺や、霊園に提出するという流れになります。
墓地(遺骨)を移すにあたり難なく事が進むのであればいいのですが、寺としては檀家が減る事になるので、寺がハンコを押さない、埋葬事実証明書を発行しない等といった事例もあります。
自治体の改葬許可を受けずに墓じまいをして別の場所に遺骨を移してしまうと、墓埋法上違法となり、刑罰が科せられます(墓埋法第二十一条一号)。
さらに、移設先が宗旨宗派を問わない霊園であればいいのですが、寺の場合はさらにややこしくなる可能性があります。
移動前と移動後の寺の宗派が同じであれば問題ないのですが、基本的に「宗派が違う=戒名の付け方が違う」ので、宗派が違う場合は移動後の宗派の戒名を改めて付け直さなくてはならないという場合が殆どです。
宗派が違うとはいえ、戒名は通夜の際に故人に授けられたものなので、釣月寺としては宗派の違う方が納骨を希望される場合でも、戒名を新たに付け直すという事はしていません。
この場合、法事等は宗派の違う戒名で行います。
新たに戒名を付け直すという事は、御布施を頂く事になり、位牌も新たに作り直さないとならないという事にもなります。