「寄付金について」
寺は本堂も含め檀家の為のものであり、本堂の修繕や境内の維持管理をするにあたり、今までは多くの寺院において檀家からの寄付で賄われていました。
しかし時代は大きく変わり、檀家に寄付を御願いするという従来からの寺の方針は、多くの方にとって受け入れ難いものとなりました。
寄付を御願いされるという事から、寺との関りを敬遠する方もいます。
釣月寺では、自由霊園、樹木葬、永代供養塔、家族墓で新たに御縁を頂く方が増えていま
すが、「寄付等はないですよね?」と念を押される時もあります。
民間霊園のテレビCMで、「寄付金なし」と謳っているCMがありましたが、そもそも民間霊園で寄付金が発生する事は有り得ない事です。
恐らく、民間霊園=墓=寺と連想する人がいるかもしれないという事からだと思いますが、「寄付金なし」という言葉が民間霊園のCMで使われている事に驚きました。
ある年配の住職は、「檀家と寺との繋がりを保つ為に、10年に一度は寄付を御願いした方が良い」と言っていました。
釣月寺では、平成30年に瓦屋根を銅版に葺き替えをし、寄付をお願いしましたが、一律「5千円以上で御願いします」としました。
従来の寺の寄付の募り方は、戒名によって「〇〇万円御願いします」と一方的に金額を指定するやり方でしたが、私はこのやり方には疑問があり、あくまでも任意としました。
蓋を開けてみると、寄付をされない方もおりましたが、5千円~110万円までと様々でした。
屋根の葺き替えは私が住職に就任してから5年後の事でしたが、釣月寺に対する檀家の評価だと私は思っています。
寄付に関して、寺側の意識と檀家側の意識の隔たりが大きいのは事実であり、今後檀家に寄付を御願いするのは無理であると考えています。
昭和の時代までは、住職の世話(食事に関する事も含め)は檀家がするという風潮がありましたが、住職の世代が変わっても、良き時代の意識を変えない住職もいる事が信じられません。
法事・葬儀の御布施、盆・暮・彼岸の付け届け、護寺会費等が檀家における普段からの寄付行為であると思っているので、釣月寺としては今後寄付を御願いするという事はありません。