「世界的な宗教離れ」

アメリカや世界における人々の問題意識や意見、傾向に関する情報を調査するシンクタンク「ピュー・リサーチ・センター」という機関が発表した情報です。

「米国では過去10年間にキリスト教の信者の数が減少し、無宗教の人の数がほぼ同じだけ増加している。2011年には75%の米国人がキリスト教信者であると認識していたが、2021年には63%に減少し、どの宗教にも属さない人々や無神論者、宗教に特に関心がないと回答した人々は、10年前には約18%だったが、2021年には29%になり、11%増加していた」という報告がありました。

世界の総人口73億人のうち、23億人(人口比で32%)をキリスト教徒が占めており、次いでイスラム教徒が18億人(25%)、ヒンズー教徒が11億人(15%)、仏教徒が5億人(7%)、民族信仰が4億人(5%)、無宗教は12億人(16%)だそうです。

墓じまい等による檀家数の減少は、多くの寺院において看過できない問題となっていますが、我が国のキリスト教においても信者離れが増えているそうです。

米国や欧州先進諸国においては、「教会離れ」「宗教転換」が進み、有史以来の危機的状況に直面しているという現実があり、カトリックにおいては、教会税や、聖職者による性的虐待スキャンダルが影響し、信者数が減少している国もあります。

欧米における教会離れの受け皿のひとつになっているのが仏教で、米国では半世紀前まではほとんど存在しなかった仏教徒の割合が近年増えているようです。

アップルやグーグルなどで「瞑想」が取り入れられてきた影響もあり、「マインドフルネス」「禅」「瞑想」「念仏」などに精神性を求める傾向がみられるとの事です。

以下、ローザンヌ大学宗教社会科学研究所の所長で宗教社会学者のイェルク・シュトルツ氏の見解です。

「生物医学が私たちを治療し、個人的な問題は心理士やセラピストに相談する。保険や福祉国家が、私たちに安心感を与えてくれる。神父や牧師に祈ったり、相談したりする必要性は減っている」

つまり、医学の進歩により寿命が長くなった結果、伝染病や死の恐怖に対しての不安が取り除かれる事により、特定の宗教を信仰する・信じるという必要性を感じなくなったという事があります。

しかし、日常生活において宗教(宗教行為など)とは無縁という事は無く、日常生活においての宗教的行為について再考してみると新たな発見があるかも知れません。