「墓じまいをする事と、先祖の供養は別の事」

今回のコラムは、2024年1月15日号、第102回住職コラム「墓じまいを本当に望んでいるのか?」の補足になります。

墓じまいをする方、検討している方の事情はそれぞれですが、「先祖代々の墓を自分の代で墓じまいする事に抵抗がある」と考えている人も多いと思います。

実際に、旦那に内密で奥様が墓じまいの相談をしに来た方もいます。

「家ごとに墓地を建立し、先祖の遺骨を納める」という従来の墓地に関する考え方、意識がなくなりつつある現状を踏まえると、将来の心配がない永代供養塔や樹木葬を選択する人が増えているのも納得できる事です。

釣月寺では、永代供養塔を平成30年に建立しましたが、檀家の方の墓じまいや新たな御縁の方などで、予想を上回る方がご利用になっています。

この様な現実を鑑みると、「墓じまいをする事と、先祖の供養は別の事」という考えもアリなのではと思います。

「墓じまいをしたから、自分で先祖の供養はしない」というのではなく、「遺骨が収められている場所がどこであれ、先祖の供養はする」という考え方に変えていく方が気持ちも楽になると思います。

勿論、釣月寺として墓じまいを推奨している訳ではありませんが、墓じまいをすると全てが終わりではなく、仮に永代供養塔に納骨したのであれば、多くの方に手を合わせて貰える状況になる事は最大のメリットになります。

墓じまいはやむを得ないという方が大多数ですが、単に次の世代に負担をかけさせたくないという事だけを考えて、墓じまいをして終わりというのではなく、故人の冥福を祈る事、先祖への感謝の気持ちを伝える供養を次の世代に伝えていく必要があると考えています。